【リリースレポート】3DMVリニューアルの裏側
Colorful PaletteがSEGAと協業で贈る「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(以下、プロセカ)は、2023年9月にリリース3周年を迎え、ゲーム内の3DMVもパワーアップしています。今回は、3DMVのこだわりや見どころについて、リニューアルを担当したエンジニアチームに取材しました。
より「プロセカらしい」、ユーザーさんに喜んでもらえる表現を追求
プロセカの3DMVは、協業のSEGA様とColorful Paletteが特に制作の上で関わりの多い制作物の1つです。「どういうものにしていきたいか」「どうしたらそれを実現することができるのか」といったコンセプトや要件のすり合わせから、実現のための方法まで、一緒に模索しながらつくっています。衣装制作チーム、楽曲制作チーム、ステージ制作チーム、といった様々なチームが力を合わせて1つのMVが出来上がるのですが、その中でもColorful Paletteのエンジニアチームは“やりたいことをどうしたら叶えられるか”といった技術的な部分を考え、実現のための機能の開発やブラッシュアップを担当しています。
プロセカのゲーム内コンテンツの中でも、3DMVは多くのユーザーさんに楽しんでもらえている要素の1つだと考えています。また、アプリのリリースから3年が経ち、ユーザーさんの持っている端末スペックや市場全体の表現技術力が上がり、改善の余地が大きくありました。3周年という節目のタイミングで3DMVをグレードアップすることができればユーザーさんにより喜んでもらえるのではないかと思い、このタイミングでのリニューアルを決めました。
まず一番は、「プロセカらしい」表現を模索することです。“プロセカの表現において大切なことはなにか”、“キャラクターの魅力をより引き立たせることができる表現とはどんなものか”と、3D・MV・イラスト等のクリエイティブの良いところや更に伸ばせる表現について話し合いました。当時、2Dイラストではできているが3Dだとまだ伸びしろが感じられる表現もありましたので、3DMVの表現の幅を広げることができれば、キャラクターの新しい表情や感情をもっと引き出せると思いました。とりわけ“キャラクター”に関連する部分は特にユーザーさんが大切に思ってくださり、注目してくださっている部分だと思います。自分たちが定義した実現したい表現だけではなく、“ユーザーさんがどんなことを求めているのか”という観点も大切に制作を進めました。
また、「VOCALOID」は人それぞれの感じ方に合わせて多様に変化でき、様々な表現の中で多くの人に愛されてきたコンテンツです。プロセカの3D制作においてもそのカルチャーを基本方針として大切にしていますので、多様な表現や演出ができるようにしたいと考えていました。現状の技術スペックに合わせて表現を追求し、3周年以降もユーザーさんに新鮮な体験を届けるための基盤づくりに力を入れたいと思いました。
その他にクオリティアップを進める中で気を付けたのは、「今までの衣装の価値を下げてしまわないこと」です。プロセカではこれまでたくさんの衣装をリリースをしてきて、その1着1着に愛着を持ってくださっているユーザーさんが多くいると思います。そのため、プロセカの3Dを楽しんでもらうためにクオリティアップを目指しますが、それにより相対的に今までの衣装の価値が下がってしまうということは避けたいという思いがありました。そのため、“新しい機能やモデルでできることは、元々のモデルでも勿論できるように”という考え方を大切に制作しています。
何を目指して、どこを改善したのか?
【モデルについて】
①ポリゴン数の見直し
市場全体の技術・端末スペックに合わせて、“キャラクターを綺麗に見せるために必要なポリゴン数”を見直しました。ベストなポリゴン数に合わせて造形を見直すことで、より滑らかにキャラクターを表現することが可能になりました。3Dの印象を底上げするとともに、これまで2Dならではだったキャラクターの魅力を3Dでも表現できるようにしています。
②目の透け・揺らめき表現
これまでのモデルでは髪の毛に目が隠れてしまっており、キャラクターの感情が見えにくいシーンがありました。2Dイラストに方針を合わせ、キャラクターの感情や表現を感じられるよう、3Dでも前髪の透けや瞳の揺らめきを表現できるように改善しています。これにより、これまで以上にリッチでドラマチックな表現をすることが可能になりました。
目の透け表現については、
2023年アドベントカレンダー内でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【演出について】
①ライトの表現
大きく分けて「キャラクターのライトの陰影表現」と「画面全体としての光の表現」の2か所がブラッシュアップしたポイントです。
キャラクターのライト表現は、光を受けた時にキャラクターが“どう照らされるか”、“どんな色になるか”をよりリアルに追求しました。キャラクターへの影の落ち方ひとつで、キャラクターから滲む感情や、纏う雰囲気が変わります。表情以外での部分でキャラクターの魅力を表現できるようにしたいと思いました。
画面全体のライト表現は、“どこが光源となり光があたっているのか”、“全体的にどんな色合いの画面なのか”といった光の表現力を向上させました。明るい雰囲気、暗い雰囲気をより細かく表現できるようになり、MVの演出の幅が広がりました。
②カメラのぼかし表現
これまでもあったぼかし表現を、グレードアップしました。ぼかし機能はMV全体の構成の切り替えや、キャラクターの感情の移り変わりなど、様々な場面で使われる表現なので、ここをリッチにすることでMV全体のクオリティをあげることを目的にしています。
その他の細かい表現の改善
・物理挙動に近いライトの表現
よりリアリティのあるカメラとライトの表現として、レンズフレアやクロスライトを行うことができるようになりました。
・ブレ表現
より躍動感を感じられるよう、動きあるものを撮影した時に生じるぼけやブレの表現をできるようにしました
プロセカの3Dのこれから
ゲーム市場のグラフィック技術は日に日に向上していっていますので、プロセカも“プロセカらしさ”を失わないことを大切にしながら、継続的に「かわいくなったな」「かっこよくなったな」と常に新鮮な気持ちを味わってもらえるよう、3Dのクオリティを追求していきます。
ユーザーの皆さんに喜んでもらえる工夫や表現の向上を目指していきますので、今後に期待してもらえたら嬉しいです。
引き続きプロジェクトセカイをどうぞ宜しくお願いいたします。
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