【おしごとパレット】ストーリースクリプトチーム:キャラクターの想いをより鮮明にユーザーさんへ届けるため、表現を追求する仕事
ゲームづくりには数多くの人が関わっており、それぞれの技術やアイディアをかけ合わせて1つのゲームを制作しています。【おしごとパレット】では、そんな数あるColorful Paletteの仕事の一部を紹介していきます。
今回は「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(以下、プロセカ)のストーリースクリプトチームの仕事内容やこだわりについて取材しました。
ストーリースクリプトチームのミッション
ストーリースクリプトチームのミッションは、「ユーザーさんにキャラクターの心情をよりわかりやすく伝える表現を追求し続ける」ことです。
スクリプターの仕事は、テキストやイラスト、モーションデータ、サウンドなど、各セクションでつくりあげた素材をユーザーさんにより分かりやすく、伝わりやすい表現に組み上げていく“演出家”のような役割です。
プロセカのストーリースクリプトチームは大きく分けると2Dスクリプト、3Dスクリプトの2チームに分かれるのですが、どちらのチームでも目指すところは変わりません。スクリプトを通じ、キャラクターの想いをユーザーさんに鮮明に届けることを大切にしています。
ストーリースクリプトチームの仕事内容
2Dスクリプトチーム
2Dスクリプトチームの主な仕事は、大きく分類すると①ストーリーやエリア会話シーンの制作、②ライブTOP画面のキャラクター表示の設定の2つに分けることができます。
①ストーリーやエリア会話シーンの制作
その場面で描かれるキャラクターの心情やテンションに合わせて、適切な表情やモーション、その他BGM等を組み合わせて演出をつける仕事です。まずイベント毎の新規素材を洗い出し、必要になるキャラクターの表情や、BGMといった素材を検討し、各チームに要望を出します。この際、担当者1人での洗い出しではなく、チーム全員でシナリオを読み込んだうえでみんなで意見を出し合うことを大切にしています。みんなで磨き上げることで、より効果的な演出案が出たり、セリフや情景が引き立つシーンがつくれると考えているからです。
ストーリースクリプト制作にあたっては、「キャラクターを魅力的に見せる」ことを大切に、キャラクターの良さを引き立てたり、リアリティを感じてもらえるよう意識しています。例えば、声色と表情がちぐはぐであったり、人として不自然な動きをしてしまうと、それを見ているユーザーさんはストーリーへの没入感やキャラクターへの愛着が削がれてしまいます。
だからといって、やみくもに実際の人間と同じ動きをさせるのでは、面白みにかけるものになってしまったり、情景が十分に伝えられない場面が出てくることがあります。プロセカという作品にとっての普通さ・自然さとは何かを考え、それを追求する事でより「リアリティ」のある表現をつくることを大切にしています。
②ライブTOP画面のキャラクター表示の設定
プロセカでは、ライブTOP画面のキャラクター表示の設定が、周期的に変化します。ここの演出を担当しているのも2Dスクリプトチームです。
ストーリーやエリア会話と違うのは、1シーンのやりとりを短く切り抜く表示となることです。1つのセリフに対してモーション・表情をそれぞれ1つ設定する形となるため、分かりやすさが大切になります。そのため、“感情が途中で変わるセリフでもなるべく雰囲気にあったものになっているか”、“次のセリフへの切り替えが不自然でないか”といった、ストーリーシーンとはまた違うポイントに注意する必要があります。
3Dスクリプトチーム
3Dスクリプトチームの主な仕事は、大きく分類すると①バーチャルライブの会話パートの制作、②バーチャルライブ新規ステージの調整、③エリアのデフォルメキャラクターの設定、の3つに分けることができます。
①バーチャルライブの会話パートの制作
プロセカでは、イベント終了のタイミングと、クリスマスや各キャラクターの誕生日といったイベントのタイミングで、3Dを用いたバーチャルライブを開催しています。このバーチャルライブにおいて、キャラクターの表情や動きを含めた演出を担当するのが3Dスクリプトチームの役割です。
制作にあたっては、見ている人に“そこにキャラクターが確かに存在している”と感じてもらえることを大切にしています。例えば、その瞬間に言葉を発していないキャラクターだとしても、話者へ注意が向いていない様子だったり、棒立ちのままでは違和感を感じてしまいます。話者の方に視線やつま先を向けていたり、それぞれの個性に合わせた相槌を打っていたりと、そこに生きている人間として当たり前にそれぞれが意思をもって動いている様子を再現したいと思っています。そのため3Dスクリプトチームは、人間の心理や動きをよく観察し、細かな部分でもそれを反映させ自然な動きを再現することで、日常的なやりとりの中にもリアリティや没入感を感じてもらえる表現を目指しています。こういったこだわりは、2Dより可動範囲が広く、足先までの全身を見ていただける3Dシーンだからこそ可能な表現です。
一方で、2Dスクリプトチームが担当するストーリーシーン等と大きく異なるのは、“セリフに対してユーザーさんの目に見えるテキストがないこと”です。ユーザーさんはキャラクターの発した言葉だけでやりとりを見ていますので、必要以上に情報を詰め込んでしまうと、本当に伝えたい部分が印象に残らなくなってしまいます。情報過多にならずに伝えたい要素をしっかりとユーザーさんに届けられるよう、バランスを取って制作することを大切にしています。
また、これに付随して、バーチャルライブでキャラクターが着用する衣装の選定も3Dスクリプトチームの仕事の1つです。イベントごとにガチャで獲得できる衣装は、ガチャメンバーによってはユニットの全員分固有のものが無い場合も多くあります。そういった場合には、「どんな衣装だと全体としての統一感があるか」「どんな色味だとキャラクターの雰囲気に合うか」といった観点で、他キャラクターの衣装や既存の衣装から似合うものを選定します。
②バーチャルライブ新規ステージの調整
新しく実装されたステージでバーチャルライブを開催する際には、他のチームと連携しながら、様々な調整が必要になります。3Dスクリプトチームは、ステージを照らすライトの照射範囲の設定を行うのが主な担当です。このライト照射範囲がユーザーさんから見える部分となるため、よりステージの見栄えがよくなる範囲や、没入感を高められる範囲を模索します。3Dスクリプトチームが手動で制作を進めますが、他セクションと「こういう風に見えるとよりリッチにできるのでは」「こうするとキャラクターが魅力的に見えるのでは」といった意見を出し合い、ブラッシュアップを重ねます。
③各エリアのデフォルメキャラの設定
各エリアのホーム画面に点在するデフォルメキャラをタップすると、エリア会話が展開されます。このデフォルメキャラの配置指定も3Dスクリプトチームが行っており、エリア会話の内容に合わせてキャラクターの立つ位置やモーションを指定します。シナリオに応じて、遠くからキャラクターを見ていたり、ちょうどキャラクターを見つけた瞬間に見えるように配置したりと、細かい部分ではありますが、よりそのシーンを適切に再現できるよう工夫しています。
1日の流れ
Colorful Paletteのストーリースクリプトチームメンバーはどのような1日を過ごしているのか?
Hさんの1日の流れをご紹介します。
深掘り!メンバーインタビュー
ここからはストーリースクリプトチームのメンバーにインタビューしました。
<プロフィール>
Iさん:中途採用で2019年に入社。「2Dスクリプトチーム」に所属し、リードスクリプターとしてチームを牽引。プロセカではストーリーシーンの制作やチェック業務を中心に行う。
Hさん:中途採用で2022年に入社し、「3Dスクリプトチーム」メンバーとして活躍。プロセカでは主にバーチャルライブに伴う制作を担当する。
Iさん:
私は「2Dスクリプトチーム」に所属し、イベントストーリーとサイドストーリーの制作やチェック業務を行っています。メンバーの制作物へフィードバックする際には、よりキャラクターの心情に即して、かつユーザーさんに分かりやすいと思っていただけるスクリプトになる提案をできるよう心がけています。
この仕事でやりがいが感じられる瞬間は、ストーリーを読んだユーザーさんに「◯◯のシーンの表情が面白かった」「◯◯で流れたBGMが良かった」と喜んでいただいている感想を見かけたときです。「ユーザーさんに喜んでもらえるいい演出ができた」と感じられ、とても嬉しい気持ちになります。
また、ストーリーパートというものは“違和感なくスムーズに読める”ことが大切で、中々スクリプトのタイミング等に注目してもらうことは少ないと感じています。そんな中で「この演出のタイミングが良かった」と言っていただき、こだわりに気づいてもらえた時には、「頑張って良かった」と報われる気持ちになりますし、次ももっと良い演出をしようとモチベーションも高まります。
Hさん:
私は「3Dスクリプトチーム」で、バーチャルライブに伴う会話パートの制作や、キャラクターたちの衣装選定を担当しています。また、ホーム画面でのデフォルメキャラクターの配置等も行っています。
ストーリースクリプトの業務は、様々な素材をもとに、各セクションと密な連携が取れてこそ成り立ちますので、セクションをまたいで意見を出し合い、より良いものをつくりたいという共通の思いを持って制作に取り組んでいます。ゆえに、困難だった実装や、たくさんのアイデアによって生み出されたものがユーザーさんにお届けできた時の感動はひとしおです。
また、やりがいを感じるのは、集まった素材をもとに、最高の演出ができたと感じられる時です。例えば3Dモーションの中には動きが大きすぎたり、クセが強かったりで、使える機会が非常に少ないものもいくつかあります。そういうものは「ここぞ」という場所でしか使えませんが、それをバッチリ使いこなせるかどうかは自分の技術力や表現力にかかってきます。そういった難易度の高い素材を適切な場面で使用し、ユーザーさんに喜んでもらえた時に、これまでやってきたことが実ったように感じられますね。積み重ねてきた自分の知識や経験、連携する中で深まった他セクションの業務に関しての造詣などが、制作物に良い影響を与えられたな、と誇らしく感じられます。
Iさん:
前述のHさんからも少し話がありましたが、ストーリースクリプトチームの業務は、シナリオで使うボイスやキャラクターのモデルといった、各チームがつくりあげた素材が揃ってこそ成り立ちます。必然的に全ての素材が揃ってからの制作になるため、スケジュールが押している場合には、時間との勝負になることが多いです。そんな風にどんなに時間がない時にも、チーム全員が「これでいいや」と妥協せず、ギリギリまでクオリティアップに努めている姿は特徴的ではないかと思います。メンバー全員がこだわりや忍耐力をもって最後の最後まで粘り続けられることが最大の強みだと感じます。
Hさん:
ストーリースクリプトチームでは、いつも活発に意見交換が行われています。意見を言い合って良いものづくりをすることはカラパレに共通した文化ではあるのですが、「ここでこんなモーションを使うのはどうだろう」「今度のライブの衣装はこれがいいんじゃないか」など、常に大小さまざまな意見が頻繁に行き交っている姿は特徴的かもしれません。ちょっとしたことでも気軽に相談できる空気があるため、スピード感をもってブラッシュアップしていくことができ、より良いストーリーシーンが制作できていると感じます。
また、チーム内にとどまらず、他のセクションへの相談に対してのフットワークの軽さも強みですね。悩んだことや困ったことがあった時にすぐに関係者に相談しにいけるスタンスは、より良いシーンづくりにおいて非常に重要であり、チームメンバーに共通する強みだと感じます。
Iさん:
スクリプトの作業はシナリオチームが書いたストーリー本文を元に制作していきます。ですが、その中にセリフや暗転箇所以外の演出指示はほぼ書かれていません。ですので、セリフの内容やその場面の雰囲気に応じて、適宜BGMやSE、エフェクトなどの演出を追加し、演出を組み立てるスキルが必要です。私はこういったスキルを培うためには、日々のインプットが重要になってくると考えています。そのためゲームに限らず、様々なコンテンツに触れて、そこから得たものや熱量を活かすことができる方はマッチするのではないかと思います。
また、それに当たり自分なりの演出プランを持つことができ、なぜそういう演出にしたのか理由を説明できることも大切です。私も説明は得意ではないのですが、大切なのは「こういう狙いや理由があるのでこの演出にしたい」という考えをしっかりと持つことです。自分の制作物にこだわりを持てる方であれば、より活躍してもらえると考えています。
Hさん:
ストーリースクリプトチーム全体の強みである“フットワークの軽さ”を実現するためには、コミュニケーションを大切にできる方と一緒に働けると嬉しいです。決して流暢に話せる必要があるわけではなく、時間をかけても「人と向き合おう」と考えられるマインドが大切です。
「人と向き合う」というスタンスは、社内だけでなく「ユーザーさんと向き合う」ということにも繋がります。私たちはユーザーさんに良いクリエイティブを届けたいと考えているため、この思いを忘れずにものづくりに当たりたいと考えています。また、アウトプットが重要なセクションですので、日ごろからインプットを欠かさずアイデアを多く持つ方もその知識を大いに活かして活躍していただけるのではないかと思います。
以上、Colorful Paletteのストーリースクリプトチームの仕事についてご紹介しました。
【おしごとパレット】では、今後もColorful Paletteの仕事を紹介していきます。
引き続きColorful Paletteをどうぞ宜しくお願い致します。
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