「傷だらけの手で、私達は」 イラスト制作インタビュー
Colorful PaletteがSEGAと協業で贈る「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(以下、プロセカ)では、周期的にイベントが開催されています。
今回は2024年11月末から12月にかけて開催した「傷だらけの手で、私達は」の★4・★3メンバーの特訓後イラストについて、制作を担当したイラストチームに話を聞きました。
※一部イベントストーリーの内容が含まれています。未読の方はご注意ください。
▼前回の記事をまだご覧になってない方は是非こちらもご覧ください。
■チーム紹介
■全体コンセプト
今回のイベントストーリーでは、友達を想う絵名のひたむきな姿勢や感情にフォーカスしながら、今回のイベントストーリーを通じて垣間見えた“それぞれの想い”を大切に描きたいと思いました。
また、イベントで追加された楽曲「余花にみとれて」の切なく優しい雰囲気や、3DMVで描かれた情景からもインスピレーションを受け、制作にあたっています。
衣装には、これまでニーゴのみんなが歩んできた道のりを連想させる要素や、彼女たちの現状を反映した仕掛けを散りばめました。彼女たちの持っている“優しさや強さ”、一方で抱えている“不安定さ”、どちらも感じられるよう素材や色味をこだわって選んでいます。
■東雲 絵名
構図・コンセプト
絵名は、手を差し出しながら、温かな微笑みを浮かべています。絵名の表情や仕草はもちろん、風や日差しといった、画面に映る全てから彼女の想いが感じられるように描きたいと思いました。
特訓前のイラストではうつむき、表情を見ることはできなかった絵名。特訓後のイラストでは、顔をあげた彼女の、あの時見ることができなかった表情を見ることができるかと思います。絵名のまっすぐな気持ちが伝わってくる、そんな一枚を目指しました。
衣装
絵名の心情を反映するように、柔らかい質感の素材をたくさん取り入れています。衣装のシルエットや髪型のふんわりとした曲線で、彼女の優しさや包容力を感じられるデザインを目指しました。
また今回は、絵名が初めてメインキャラクターとなったイベント「満たされないペイルカラー」の衣装に印象を合わせています。当時の衣装には、彼女の想いが痛いくらいにペイントや装飾に現れていました。一方で今回は、迷いの晴れた“今の彼女”を表すように、洗練されたシンプルなデザインを目指しました。
背景
今回のイベントで追加された楽曲「余花にみとれて」から連想し、背景のモチーフを詰めていきました。曲名にもある「余花」ですが、この“春に遅れて咲く花”に彼女たちの気持ちを反映したいと思い、桜の描写に力を入れました。華やかだけど豪華すぎず、少し心もとなさや切なさを感じる、散っている最中の桜をイメージしています。コンセプトに合わせて、柔らかい風や日差しの暖かさといった情景までが伝わってくる背景を目指しました。
■暁山 瑞希
構図・コンセプト
特訓前のイラストでは必死に涙を隠していた瑞希。特訓後のイラストでは、涙が流れるのも厭わず、くしゃくしゃな笑顔を見せています。制作当初は、イベントストーリーで自身が語っていた不安を反映するように、瑞希には大きく桜の影がかかっていました。制作を進める中で、瑞希の「一緒にいたい」という気持ちをもっと後押しできる表現があるのではないか?と模索し、光の表現や全体の雰囲気を細かく調整して今の形に仕上がりました。
衣装
瑞希らしさを大切に、「瑞希は瑞希だ」と感じられる衣装を仕立てたいと思いました。瑞希が好むフリルやリボンを多くあしらって、“カワイイ”が詰まったデザインです。髪型は、気持ちを一新するように、さっぱりとしたショートのボブカットです。特訓後の装いで初めて見せた短い髪は、“どんな髪型でも、どんな格好でも、自分らしくいられる。”そんな瑞希の少し救われた気持ちの表れなのかもしれません。
背景
絵名と瑞希は、桜の枝をはさんで、同じ場所に向かいあって立っています。そのため、絵名と瑞希の手前の桜の枝が同じものの裏表だと分かるよう、描きこみや整合性に一際こだわって描きました。絵名と同じく、柔らかい日差しが差し込んでいますが、瑞希の方が少し気温が低く見えるようにしています。瑞希の心情に合わせて、吹く風は冬から春になったばかりのような、少しまだ冷たさが残る風をイメージしました。
■MEIKO
構図・コンセプト
これまではクールな表情を見せることが多かった「誰もいないセカイ」のMEIKOさん。今回これまでより少しだけ踏み込んで絵名や瑞希の背中を押したMEIKOさんには、初めて見せる表情が浮かんでいます。桜の花に送る視線やその寄り添い方には、絵名や瑞希に対するMEIKOさんの想いを重ねました。優しさと静けさを感じるライティングで、MEIKOさんの噛みしめるような感情が伝わる、シックで雰囲気のある一枚を目指しました。
衣装
4人の中では特にスレンダーなシルエットで、落ち着いた大人っぽさを感じられるデザインです。ゆるく巻いた髪を片側でおろすことで、柔らかい印象をプラスしています。一見するとシンプルなデザインですが、背中を後押ししてくれる存在であるMEIKOさんのイメージから、後ろから見たときには華やかな要素が詰まっているデザインにしました。飛び立つ蝶を連想する背面のデザインには、「これからみんなはもっと羽ばたけるはず」というMEIKOさんの想いを込めています。
背景
桜の中にたたずむMEIKOさんの、優しく美しい雰囲気を活かした背景にしたいと思い制作にあたりました。木漏れ日の当たり方や影の落ち方にこだわり、オシャレな一枚になるように意識しています。奥に見える道の先が、霧がかりながらもどこか明るい印象を受けるのは、MEIKOさんのニーゴのみんなの未来を願う気持ちが現れているからかもしれません。
■宵崎 奏
構図・コンセプト
奏は、一つの大きな出来事が終わり、日常に戻る前のような静かな夜の時間をイメージしています。さらさらと優しく吹く風に奏の長い髪が美しくなびく、そんな穏やかで幻想的な瞬間を切り取りました。ふわふわと舞い散る桜の花びらに、どこか嬉しそうな躍動感を感じるのは、またいつものように4人で集まることができた、奏の喜びが表れているからだと思います。
衣装
機能性の良い服を好む奏の衣装は、着やすさや動きやすさが感じられるものになるように調整をしていきました。そのため、他の3人に雰囲気を合わせつつも、よりカジュアルさのあるシルエットのワンピーススタイルに仕立てています。シンプルなデザインながらも、袖をパフスリーブにしたり、スカートレースをあしらうことで、可愛らしさや柔らかさを追加しました。
背景
奏の周囲に描いた桜は、彼女に似合いそうな、儚く綺麗な印象になるように意識しました。絵名と瑞希が帰ってくる場所である、ニーゴのみんなの元や「誰もいないセカイ」を思わせる要素を散りばめ、色合いを調整しています。他の3人よりも夜の深い時間を描いていますが、優しく温かい印象で、奏の心情が滲むような風景をイメージして描いています。
■最後に
今回のイベントストーリーでは、これまで葛藤していた絵名と瑞希が、それぞれの決断をする様子が描かれていました。絵名がぶつけた自分の想いや、瑞希が見せた感情、それらを経たいまのニーゴのみんなの姿をまっすぐ描きたいと思い制作にあたっています。
細部にキャラクターたちの心情を反映したいと思ってつくっていますので、吹く風や日差しの温かさ、細部から滲むみんなの感情に注目してもらうと、新たな発見があるかもしれません。
不器用ながらも懸命に進んでいくニーゴのみんなのこの先を、これからも一緒に見守っていただけたら嬉しいです。
引き続きプロジェクトセカイをどうぞ宜しくお願いいたします。
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