エンジニアとしての市場価値を上げるために「自分専用 秘伝の書」を作ろう
はじめに
この記事は Colorful Palette アドベントカレンダー12/4の記事です。
こんにちは!
株式会社Colorful Paletteでサーバサイドエンジニアをしている、sekatakaです。
最近、「自分の市場価値はちゃんと上がっているのだろうか?」ということを考えることがありました。
そこで辿り着いたのが、「自分専用 秘伝の書」を作成するという取り組みです。今回はなぜ作成するのかとその効果について書いていきます。
タイトルは少し大げさに感じるかもしれませんが、要するに、
これまでの経験や知見を体系的にまとめた自分のためのノートを作ると自分自身の市場価値を押し上げる一歩になりますよ!!
ということを伝えたい記事です。
当然、エンジニアリングノート?技術ノート?的なものを作ってるよ!!という方も多いと思います。
私自身も現在手探り中なので、どのツールを使ってどのようなまとめ方をしているかなどコメントに書いてくださると嬉しいです!
なお、今回ご紹介する内容は、私が個人的に実施している取り組みですので、Colorful Paletteとして実施しているものではないことをご承知ください。
さて、それでは本題に入っていきましょう!
市場価値とは
そもそも市場価値とは何を指しているのかを知る必要があります。
開発や運用への参画によって、経験を積み、知見が深まり、新たな挑戦を経て、技能を高めていくことで、全体的な能力が成長していきます。
では、現場が変わったらこれまでの経験と知見をどれだけ活かせるのでしょうか?
新しい環境でも基礎となる考え方や注意すべきポイントは変わらないので、ある程度は適応することができます。そして、組み合わせて応用すれば、より高度な取り組みができるようになります。
これは、私個人の意見で一般的な意味とは異なるかもしれませんが、「どんな現場でも適用できる経験と知見の範囲広げて、プロジェクトに価値をもたらすことができるか」、これこそが市場価値だと思います。
簡潔に述べると
「経験と知見の組み合わせを多様な環境で柔軟に適用できる能力」
です。
つまり、市場価値を上げるということは、
「幅広い技術や深い知識を持ち、それらを柔軟に適応できる状態にしておく」 ことだと思います。
当たり前と言えば当たり前ですが、改めて自分で咀嚼して自分の言葉で定義することは大事ですね。
具体的に何をすれば良いのか
先ほど「柔軟に適応できる状態にしておく」と書きましたが、「しておく」が大事なポイントです。
現場で得られる知見は、そのままだとプロジェクトと密接に関わっている情報が多いと思います。
なので、現場固有の知見から固有な情報を抜いて一般化してみましょう!と言いたいところですが、実は皆さんが普段から無意識にやっていることだと思います。
例えば、現場固有な情報を出してみます。
プロジェクトAの事象:長期運用によってDBのテーブル hoge のデータ量が想像以上に多くなり、そのDBテーブルを参照するAPIレスポンスが2s以上になっていた
改善方針:パフォーマンス改善をするために、設計から見直してデータ量を減らす
改善策:hoge テーブルが持つデータの役割を変更してレコード数を現在の1割に減らす。また、一部のデータをキャッシュする改修を入れた
結果:APIレスポンス0.5sになり大幅にパフォーマンスが向上
上記のような経験をした時に、以下のような知見が得られるはずです(あくまで例なので他にもあると思いますが)
データ量が多すぎると問題が発生しやすい
データ量が増えない設計にするにはどうすれば良いのか
キャッシュを活用することはパフォーマンス向上に繋がる
(書いてないけど)データベースインデックスや実行計画も踏まえて確認が必要
そうすると、今度テーブルを設計するときは、これらに気をつけて設計を考えよう となるはずです。
得た知見は一般化されており、他の場面でも活用できるスキルとして身についていますね 👏
では、これが何度も何度もあったらどうなりますか?
印象が少し薄かったり、内容が細かすぎたりすると、数年後にはこうなってるかもしれません
「あー、この事象ね〜、なんか似たようなのあったな〜」
「でも、忘れたなー」
チラッと調べたらすぐにわかるかもしれません
でもわからなかったら、過去の経験が活きてないじゃないですか(勿体無い!!)
そこで、ようやく「秘伝の書」の出番です。
ここまでの話を聞くと、
「なんだ結局ただメモしろって話かよ、秘伝の書(メモ)(笑)じゃんw」
と思われるかもしれません。
しかし、この「秘伝の書」の役割は、ただの記録媒体じゃないんです。
想像以上にあらゆる良い効果を与えてくれるメソッドだと確信してます。
秘伝の書がもたらす効果
大きく分けて4つの効果をここでは紹介します。
着実に日々成長している自分を実感できる
経験則に基づいていたり直感的で難しいノウハウを言語化できる
体系的に整理された知見によって、課題解決スキルが向上する
知識欲が高まり、成長のヒントを得られる
詳しくそれぞれを見ていきましょう
着実に日々成長している自分を実感できる
秘伝の書に何かを記載していく度に、それはあなたがどの現場でも通用するスキルを身につけたことになります。
小さいことでも良いので、定期的に秘伝の書を更新していくと、自分が学んだことや成し遂げたことを目に見える形で確認することができるため、自信とモチベーションに繋がります。
知識欲が高まり、成長のヒントを見逃さなくなる
驚くほど、秘伝の書を充実させようという意欲が湧いてきます。これにより、日々の知見への関心が高まり、新たな学びへのモチベーションが高まります。
日々のミーティングの場で様々なヒントが飛び交っていますが、結構聞き流しがちです。秘伝の書を充実させたい欲に駆られていると、聞き流していた内容を一旦メモして後でちゃんと調査した上で記載するという行動に繋がるので、知識の幅が広がります。
体系的に整理された知見によって、課題解決スキルが向上する
体系的に追いやすくジャンル分けしたり、検索ワードに気をつけながら作成することで、過去に直面した問題やそれに対する解決策へ容易にアクセスできるようになり、同様の問題が発生した際には迅速に対応することができます
私はよくSlackに知見をメモしてましたが、あちこちに散乱してしまい、後で探すのが大変でした。また、Slackは業務上、高頻度で利用するコミュニケーションツールでもあるので、メモしてないのにメモした気分になっていて、存在しない情報を無駄に探す手間をかけることも多々ありました。
秘伝の書に知見を集約することで、あちこちを探す手間を省けます。
直感的あるいは経験則に基づくような難しいノウハウを言語化する機会になる
業務に長く携わっていると、感覚や勘に頼ることも増えていきます。
これらを正確に言語化することは困難ですが、曖昧な理解をしっかりとした知識に変えていくことになり、チームのパフォーマンス向上に繋がる極めて重要なプロセスです。
ノウハウを言語化するというのは、難しく大変な取り組みで、なかなか重い腰が上がらないものですが、秘伝の書を充実させて市場価値を上げたいという観点に立つと、非常に有意義な取り組みになります。
おわりに
「市場価値」=「経験と知見の組み合わせを多様な環境で柔軟に適用できる能力」という定義のもと、
「自分専用 秘伝の書」を作成することで、柔軟に適応できる状態を作り出すことができ、さらには自身の成長にも繋がって、市場価値を上げていくことができますよ、という内容を書かせていただきました。
もちろん、技術の扱い方以外にも使用感やメリデメを記載したり、技術だけでなくマネジメントや自分自身の考え方の方針などに関しても言語化する難易度は高いですが同じように活用することができます。
私個人としては、かなりしっくりきているメソッドですので、市場価値を上げていきたいと思っている方は、ぜひ試してみていただければと思います。